こんにちは、ストーンヘッド鈴木(@StoneHeadSuzuki)です。
今回は、東証に上場しているETF(上場投資信託/上場投信)の上場廃止に伴う繰り上げ償還とETFの新規上場が意味する懸念について述べたいと思います。
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既に→こちらの記事にて採り上げました様に、iシェアーズのETFシリーズを運用しているブラックロック社の東証に上場している10本のETFが上場廃止の予定にともない、繰り上げ償還の予定となった事はETFを売買している個人投資家ならば記憶に新しいかと思います。
何を隠そう、私自身、東証上場の高配当ETFにて配当金再投資をしていただけに、1361 ハイイールド債券ETFなどモロに上場廃止予定の影響を受けました。
幸いにもいずれのiシェアーズの銘柄も含み益だったので、上場廃止予定の情報入手後に該当銘柄を売却し、確定利益となりましたが、もしこれが1362 新興国債券ETFの様な長期スパンでは右肩下がり、あるいはリーマンショック等の暴落時に悪いタイミングで上場廃止に伴う繰り上げ償還となってしまった場合は、含み損が確定損失となり、個人投資家としてはたまったものではありません。
特に暴落時は安く買い増しが出来、口数(株数)が増えるという事は分配金(配当金)の増加や、将来的に基準価格が上昇した際に値上がり益も期待出来ます。
よって上場廃止による繰り上げ償還は無いだろうという前提ならば、暴落は絶好の買い場といっても過言ではありません。
その様な中、上述のiシェアーズの東証上場ETFの上場廃止予定がアナウンスされた2017年9月28日より約2ヵ月後の11月27日に、日興アセットマネジメントが運用する以下の3本のETFが上場廃止予定による繰り上げ償還予定となった事が発表されました。
・1314 上場インデックスファンドS&P日本新興株100 ETF
・1347 上場インデックスFTSE日本グリーンチップ35 ETF
・1548 上場インデックスファンド中国H株 ETF
参照:東証 マーケットニュース
こちらの3本のETFの上場廃止予定の原因として推測されるのは、いずれも純資産が潤沢とは言い難く、また出来高も少ない(淋しい)という事です。
ちなみに、日興アセットマネジメントはブラックロックと同様に過去にも2015年7月に以下の5本のETFの上場廃止による繰り上げ償還の実績があります。
・1316 上場インデックスファンド TOPIX100日本大型株
・1317 上場インデックスファンド TOPIX Mid400日本中型株
・1318 上場インデックスファンド TOPIX Small日本小型株
・1544 上場インデックスファンド日本株式(MSCIジャパン)
・1566 上場インデックスファンド日経中国関連株50
参照:日興アセットマネジメント 繰上償還
以上が上場廃止である「スクラップ」についてです。
「スクラップ」がある一方で新規上場という「ビルド」もあります。
それはブラックロック社から2017年9月28日に新規上場された以下のETF5本です。
・1655 iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF
・1656 iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF
・1657 iシェアーズ・コア MSCI 先進国株(除く日本)ETF
・1658 iシェアーズ・コア MSCI 新興国株 ETF
・1659 iシェアーズ 米国リート ETF
参照:東証 マーケットニュース
スクラップアンドビルドというと、何か古いものが新しくなり、世の中がより快適に、便利になりそうな気がしないでもないのですが、この場合はドルコスト平均法で積立や配当金(分配金)の再投資など長期投資をしている個人投資家にとっては運用会社の都合で振り回されてしまいかねず、たまったものではありません。
いくら投資は投資家の自己責任とはいえ、特にETFの長期投資はそもそもETFが長期で運用されるだろうという前提のもとに行われるわけです。
ところが上述の様に、比較的短いスパンでスクラップアンドビルドが繰り返される様では他の東証上場ETFも上場廃止による繰上げ償還が懸念されかねず、東証上場ETFに対する信頼や人気の低下は避けられないのではないでしょうか。
現状の東証のETFの売買はほとんどが日経225等のブルやベアなどインバース系やレバレッジ系といっても過言ではない状況下において、このスクラップアンドビルドは運用会社が自分でそれ以外のETFの売買にブレーキをかけてしまっていると感じます。
信用を失うのは非常に簡単ですが、その逆の信用を築き上げていく事は非常に難しいものです。
日本のETFをより活発にし、ETFの上場廃止やそれに伴う繰り上げ償還を減らす為にも、今後は新規上場前に商品開発の徹底や、マーケットメイカーによる活発な売買環境の他、まずはETFやそのメリットを知ってもらうなど証券会社を含めた地道な宣伝や普及活動が望まれます。
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